本格的なフィンランド夏至in山梨
年に最も重要な祝祭。日本で言えば、お正月やお盆、またフィンランドで言えばJoulu(ヨウル=クリスマス)やJuhannus(ユハンヌス=夏至祭)でしょう。フィンランド人にとって、一年中、日が最も長い夏至が大切な日です。さらに、「白夜」という夜になっても明るいという現象が著しい時期でもあります。
ユハンヌスを祝うには、湖畔のサウナや美味しい料理は欠かせません。まだまだ夏休みをフィンランドで過ごすのが中々厳しい時世ではあるので、フィンランド人の友達でユハンヌスを日本で過ごしてみました!以下、今回のユハンヌスの過ごし方を場所、料理、サウナという三つの点に分けて紹介します。
場所
フィンランドらしい場所はないかと探していたら、穴場と言っていいほどの貸別荘が見つかりました。フィンランドのユハンヌスのみならず、夏休みの大半やその他の休みの時も都市部から少し離れた湖畔の別荘で過ごすのはよくあります。別荘とはいっても、必ずしも豪華なものである必要がなく、質素な小屋でまったり過ごし、サウナ入ったりするのがまず先に思い浮かぶイメージです。もちろん、実際の過ごし方は人や家族それぞれです。
私たちの場合は、緑に囲まれたサウナ付きの湖畔の別荘が理想だと考えていましたが、幸いその条件にぴったりはまった、山梨の山中湖にある貸別荘を見つけました。施設が本格的すぎて、まるでフィンランドのものでした。といっても、実はフィンランドの会社が作った別荘だったので、事実上フィンランドのものでした!
そう、フィンランドでこのような別荘やログハウスを作ることで有名なHonka(ホンカ)社が運営している施設でした!本格的!
内装までフィンランドっぽかったです。やっぱり木材の使用やログで作られた壁などで、すごく懐かしい気持ちになりました。雰囲気作りとして、古い多国語のフィンランド旅行を宣伝するポスターが飾ってありました。別荘はすごく広くて、ベッドが6人分ありましたが、追加布団で7人目までも対応してもらえました。
もちろん、まっ平らな国フィンランドと違って、周辺エリアは山々がいっぱいで、ノーラや一部の友達は登山にも出かけました。天気のいい時は富士山も見えました。とはいえ、天気は殆どフィンランドのユハンヌスのごとく、曇りでした。もちろん、ユハンヌスの理想上の天気が晴れで、理想の気温もフィンランドの寒い春を凌いできたところで、少し暖かいのが一番いいんです。あいにく、そのような理想的な天気に恵まれるかは毎年まちまちです。そこを鑑みて、今回の曇りで「リアルすぎる」と感じることしかできませんでした。
フィンランドで過ごすユハンヌスとの相違点を強いていうなら、日本に白夜はないから夜はやっぱり暗いなと感じました。どちらかというと、夏至がもうすぎて、フィンランドの別荘で過ごした8月の感覚でした。
料理
食べ物の出番!ユハンヌスの料理で定番中の定番と言えば新じゃがです!茹でた新じゃがいもに塩バターとハーブ(ディルやチャイブ等)を乗せてそのまま食べます。ちなみに最近知ったことですが、フィンランドの市販のバターの殆どが日本でいう「発酵バター」に該当するものらしいです。厳密な味比べをしたわけではないですが、フィンランド料理にチャレンジしてみるなら、発酵バターを使った方がより本格的な味になるかもしれません!新じゃがと一緒によく食べるのは、ニシンの漬物やサーモンの塩漬けです。両方、生物を漬ける料理なので、食感は日本の刺身に似ていて柔らかいんですが、味は漬け汁や塩の影響で濃いです。
実はノーラはニシンやディルはあんまり口に合わないし、日本で買いにくいのもあり、今回は魚系の定番のメニューをやめて、ユハンヌスのもう一つの定番にしました。BBQです!ソーセージやら、焼肉やら、焼き野菜やら、そしてもちろん、新じゃがいもです。メインで奉行をやってくれたのは、前回の白馬の話でも登場したインカちゃん!全部美味しかったです!ありがとう、インカ!
フィンランドらしくオーブン料理も作りました。夏はルバーブの旬なので、ルバーブのケーキは雰囲気にぴったり!
他に、手作りの、フィンランド料理で代表的なkarjalanpiirakka(カリヤランピーラッカ)も登場!一般的に美味しい食べ方とされているのはmunavoi(ムナヴォイ=バターに卵やハーブを混ぜたもの)を乗せて食べることですが、アレンジも色々できます!
後は、お酒です。お酒はほどほどに、と言いたいところですが、ユハンヌスはたくさん飲むイメージです。特に決まったものはないのでお好きなものを飲めば良いです。夏によく合うビールやレモンサワーをメインにしましたが、みんなで日本酒の飲み比べもしました。
サウナ
ユハンヌスで最も重要な「伝統」と言えば、サウナに入ることです。幸い、上記の通りサウナが付いていました!実は、場所を選ぶ時は、サウナの有無が結構重点になってきました。本格的なフィンランド式のサウナに入るのはみんなにとってもう一年半以上ぶりだったので、フィンランド人が納得できるようなサウナが付いた施設を見つけて本当に嬉しかったです。
さすがHonka社、これはフィンランドのサウナそのものです。ストーブや設備のブランドもフィンランド一番のメーカーのHarvia(ハルヴィア)です。
ちなみにこのサウナの何が本格的なのか、プルが自分なりの感想を共有します!まず第一印象として、木材たっぷりの雰囲気です。サウナは五感で楽しむもので、木の匂いと木材の薄暗い中でも少し光る性質がフィンランド人にとってとても懐かしいものです。
次に、中の設計です。サウナはやっぱり「タワー式」であるべきです。座る位置が高くして、頭が天井につきそうで、足指もストーブの上部の高さにしないとフィンランド式のロウリュができないのです。「ロウリュ」には、ドイツの「アウフグース」のようにタオルを振る習慣も必要性もないのです。これはなぜかというと、座る位置が上にあることで、ストーブから上がる蒸気が天井につき、散って、自然にサウナの上部を回るという設計になっているからです。
そしてテントサウナでよく見かける椅子よりも、やっぱりベンチです。その理由は以下の写真でわかってもらえます。
しかし、特にユハンヌスや夏の別荘の過ごし方を考えると、もう少し改善できたところもあるでしょう。電気のストーブのことです。電気のストーブは確かに非常に便利なものですが、湖畔の別荘という環境を考えると、火を起こす作業、薪と煙の匂い、薪がストーブの中で燃えるゴーという音も、それぞれサウナを楽しむ大切な要素です。一部のフィンランド親父が無心になって薪を割る作業もサウナの準備の楽しみの一つだと言っています。つまり、薪ストーブのサウナだったら、よりユハンヌスの雰囲気に合っていたであろう、という結論です。
十分ロウリュをした上でテラスでビールを飲みながら涼しい空気を吸ってととのってきました。
以上、フィンランドのようでフィンランドではなく、山梨の山中湖で過ごしたユハンヌスを紹介しました。いかがだったでしょうか?私たちはとても楽しく美味しく、ととのった状態でユハンヌスを過ごせました!